試合でガチガチに緊張する子どもに、親ができる最高のサポートとは──現役コーチが伝えたい「見守る力」

試合でガチガチに緊張する子どもに、親ができる最高のサポートとは──現役コーチが伝えたい「見守る力」

「練習ではあんなに上手くできていたのに、試合になると別人みたいになってしまう…」

そんな経験をされている保護者の方も多いのではないでしょうか。

実は私自身、コーチとして多くの選手を指導してきた中で、練習では抜群のパフォーマンスを見せるのに、本番になると緊張でガチガチになってしまう選手を何人も見てきました。タイムが出ない、体が動かない、頭が真っ白になる。そういった経験は、アスリートなら誰もが通る道です。

そしてそういった場面で、親御さんの関わり方が子どものメンタルを大きく左右するということも、指導を通じて痛感しています。

この記事では、試合で緊張してしまう子どもに対して、保護者としてどう関わればいいのかをお伝えします。

目次

なぜ練習ではできるのに試合でできないのか

まず大前提として、「練習ではできるのに試合でできない」のは、子どもの努力が足りないわけでも、根性がないわけでもありません。

試合と練習の最大の違いは「評価される環境かどうか」です。試合では観客・保護者・コーチ・ライバルの目がある中で、結果を出さなければならないプレッシャーがかかります。このプレッシャーが脳と体に影響を与え、普段通りのパフォーマンスを妨げます。

具体的には、緊張すると以下のような状態が起きます。

  • アドレナリンが過剰に分泌され、筋肉が必要以上に緊張する
  • 呼吸が浅くなり、体に十分な酸素が届かなくなる
  • 思考が「失敗したらどうしよう」という方向に向き、集中力が乱れる
  • 普段無意識にやっている動作を意識しすぎてぎこちなくなる

これは脳と体の正常な反応です。緊張すること自体は悪いことではありません。問題は、その緊張をうまくコントロールできるかどうかです。

親のプレッシャーが緊張を倍増させる

指導をしていて気づくのは、子どもの緊張の多くが「親を失望させたくない」という気持ちから来ているということです。

保護者の方に悪気はありません。「頑張れ」「絶対にいい結果を出せ」「練習通りにやれば大丈夫」という言葉は、応援のつもりで言っているはずです。

しかし子どもの立場から聞くと、これらの言葉は「結果を出さないといけない」「失敗したら親に申し訳ない」というプレッシャーに変わることがあります。

試合前にすでに緊張している子どもに、さらにプレッシャーを重ねてしまうと、緊張が倍増してしまいます。

保護者にできる最高のサポート「優しく見守る」

では保護者はどう関わればいいのか。私がコーチとして、そして一人のアスリートとして感じてきた答えはシンプルです。

「結果がどうであれ、頑張っていることは変わらない」という気持ちで、優しく見守ること。

これが子どものメンタルにとって、最も大きな支えになります。

試合前にかけたい言葉

試合前の声かけで大切なのは、結果への期待ではなく、存在への承認を伝えることです。

おすすめの声かけ:

  • 「楽しんできてね」
  • 「いつも通りやれば大丈夫」
  • 「応援してるよ」
  • 「どんな結果でも、あなたのことが誇りだよ」

避けたい声かけ:

  • 「絶対に〇〇秒出してね」(結果へのプレッシャー)
  • 「練習でできてたんだから大丈夫」(できて当然という期待)
  • 「緊張しないで」(緊張を否定すると逆に意識してしまう)
  • 「負けたら許さない」(論外ですが、冗談でも言わない)

試合中の関わり方

試合中は過度な声援や指示を控えることが大切です。スタンドから「もっと腕を振れ!」「もっと前傾姿勢で!」などと技術的な指示を叫ぶのは、子どもの集中を乱してしまいます。

温かく見守り、笑顔で応援する。それだけで十分です。子どもはスタンドに親の顔を探しています。そこに安心できる顔があるだけで、緊張が和らぐことがあります。

試合後の声かけ

試合後の声かけは特に重要です。結果が悪かったとき、子どもは誰よりも自分が一番悔しい思いをしています。そこに追い打ちをかけるような言葉は必要ありません。

結果が良かったとき:

  • 「すごかったよ!頑張ったね」
  • 「練習の成果が出たね」

結果が悪かったとき:

  • 「よく頑張ったよ」
  • 「次があるよ、一緒に頑張ろう」
  • まず話を聞いてあげる(アドバイスは求められてから)

結果が出なくても、「あなたの頑張りは見えている」と伝えることが、次への意欲につながります。

緊張は「慣れ」で必ずコントロールできるようになる

大切なのは、緊張と本番のプレッシャーは経験を積むことで必ずコントロールできるようになるということです。

最初は緊張でガチガチになっていた選手が、試合を重ねるごとに落ち着いて自分のパフォーマンスを発揮できるようになる。そういった成長を、コーチとして何度も目の当たりにしてきました。

焦らなくて大丈夫です。慣れてきたら、結果は後からついてきます。

保護者の方がプレッシャーをかけず、温かく見守り続けることで、子どもは「失敗しても大丈夫」という安心感を持って競技に臨めるようになります。その安心感こそが、緊張をコントロールする最大の力になります。

まとめ──親の「見守る力」が子どもの力になる

試合で緊張してしまう子どもに、保護者ができる最高のサポートをまとめます。

  • 緊張は脳と体の正常な反応。責めないこと
  • 結果へのプレッシャーではなく、存在への承認を伝える
  • 試合前は「楽しんできてね」「応援してるよ」の一言で十分
  • 試合中は温かく見守るだけでOK
  • 試合後は結果より頑張りを認める言葉をかける
  • 緊張は経験で必ずコントロールできるようになる

子どもが競技を「楽しい」と感じ続けられるかどうかは、保護者の関わり方に大きくかかっています。結果がどうであれ、頑張っている子どもの姿を、まず認めてあげてください。

その積み重ねが、長く競技を続けられる強いメンタルを育てていきます。

──テンコーチ

試合に向けた体づくりについてはこちらも参考にしてください。
→ 中学生アスリートの慢性的な怪我は「食事」が原因かもしれない

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この記事を書いた人

現役陸上選手・コーチ歴6年。全国大会6位入賞・地区大会優勝の実績を持つ。園児〜小学生を中心に指導しながら、学生アスリートとその保護者をサポートする情報を発信中。

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